稲沢のむかしばなし 蜂須賀弘法(海部郡美和町蜂須賀)
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稲沢市の南部、目比町の南隣りにある、蜂須賀の蓮華寺につたわる、「蜂須賀弘法」というお話です。
今から1,200年も前のこと、全国をまわっておられた、弘法大師様は、熱田神宮にお着きになった時、神のお告げをお聞きになりました。
「北の方の小高い丘が、たいへん荒らされている。すぐに行って、お寺を建て、静めなされ」
弘法様は、さっそくこの小高い丘に、おもむかれた。
しかしそこには、うっそうと木がおい茂り、人の入ったけはいがまったくないほど、荒れていた。
そして、あたり一面、黄色の大きなハチがブンブンと飛びまわり、とても手がつけられない状態だった。
「弘法様、わしら、この大きなハチには、いつもなやまされております。何んとか、ならんもんでしょうか」
村の人たちは、ひっしにお願いした。
弘法様は、さっそく近くにある“かやの木”の実に、針で穴をあけ、糸を通して、“じゅず”をおつくりになった。そして、雨の日も風の日も、何日も、お祈りされました。
するとどうしたことか。今までの大きなハチの大群は、いつのまにか、どこかへ飛んでいってしまった。
村の人たちは、おそるおそる中に入ってみると、大きなハチの塚が、八か所もあり、中には一匹もハチがおりませんでした。
村の人たちは、弘法様に大変感謝し、何度もお礼をいった。
それ以後、このあたりを「蜂塚」というようになったということです。
この八か所の蜂塚のひとつは、今の目比町にもあったそうです。また、弘法様が使われた“かやの実”は、不思議なことに、どの実にもふたつの穴が、あくようになったということです。