稲沢のむかしばなし 病気をなおす石ぶみ様(稲沢市日下部町)
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日下部町に伝わる「病気をなおす石ぶみさま」というお話です。
「あーあ、また腰がいたくなってきた。あーあ、石ぶみ様、石ぶみ様」
「おじいちゃん、いつも石ぶみ様というけれども、なあにそれは」
「うん、それはなあ坊や。今から100年も前のこと。村の十字路の地面から、にぎりこぶし位の石ころが、つき出ておってなあ。人はもちろん、馬や牛までが、つまづいて、よくころんだもんじゃ。そんなもんで、春の暖かい日に村人みんなで、堀おこすことにきめたんじゃ」
「それで掘ったの」
「うん、それでなあ。日下部の文吉という若者をはじめ、村人が掘りはじめた。しかし、掘っても、掘っても、石はどこまでもつづいておった。そのうち突然、文吉が寒けがすると言いだしてな。すぐに帰ってしもうた。みんなは”どうしたんだべぇ、こんなに暖かいのに”と、ふしぎな顔をしておった」
「それでどうしたの」
「文吉は家に帰っても、ふるえがとまらず、高い熱を出して、うなっておった。ところがその晩、村の常楽寺のおしょうさまがねているところに、突然、石ぶみという神様がでてきてなあ・・・」
「これ、おしょう。お前にたのみがある。村人が掘っているのは、わしの頭だ。村人に、わしの頭の上を通らぬように、言ってはくれぬか。約束をまもってくれたら、村人の腰の痛みを、これからずっと後まで、なおしてやろう」
「次の朝、おしょうはさっそく村人にこのことを話した。そしてこの石を、神様として祭るように言ったそうだ。それからは、村人だけでなく、遠くからも腰の痛みをなおしてもらおうと、石ぶみ様にお参りする人が多くなったそうじゃ。坊や、よくわかったかい」
「うん、ぼくもおなかが痛くなったら、石ぶみ様にお願いしよっと」