稲沢のむかしばなし 天池(稲沢市天池町)
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稲沢市の北西部にある天池町のゆらいについてのお話です。
むかァーし、むかし、長い間の日照り続きで、田んぼや畑はほしあがり、村人はたいそうこまっておった。そして、いつも空を見上げてはおいのりをしておった。
「このままじゃ、みんなうえ死にじゃァ。ああ、雨よ、どうかふっておくれェ。」
ある日、天ノ助という若者が村人にいった。
「どうじゃろう。村の西を流れる川をせきとめて、池をつくり、その水をひいてはのう。」
「うーん。それは、ええ考えじゃ。みんなァ。さっそく池をつくろうじゃないか。」
村の人たちは、毎日汗を流して、みごとに川をせきとめた。すると枯れていた作物は生き返り、実をつけるようになった。
ところが、その秋のこと。その実を食べた村人は次々とおかしな病気にかかった。村の人たちは、
「川をせきとめた、たたりじゃァー。竜神様が、おこりなさったにちがいねェだ。どうするべェー」
天ノ助は、村人の声を聞くたびに心が重くなっていった。
星のない真夜中のこと、どうしたらよいかと、ひとりごとをいいながら天ノ助は、いつのまにか池のほとりにきていた。
すると突然、目をギラギラと光らせた大きな竜が姿をあらわした。
「ゴゴゴォー。こりゃー。天ノ助。私のゆるしをなしになにをするじゃー。」
思わず天ノ助はさけんだ。「おねがいしますだ。みんなの病気をなおしてくだせぇ」
ふと気がつくと、空はぼんやりと明るくなっており。我に返った天ノ助は、竜神の怒りにふれたことをさとった。さっそく池のほとりに竜神様をまつり、お祈りをした。
それからは、病気になるひとはなくなり、誰と言うことなく、その池を天池と言うようになったということです。