稲沢のむかしばなし 孫八祭(稲沢市西島町)
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稲沢市の西部にある西島町の「孫八祭」のおはなしです。
むかし、むかし、ある秋のこと。大水で米のとり入れが出きなんだ時のことだそうな。
「ああ、こうたびたび大水では、米はとれんし畑のものはみんな流されてしまうし、困ったもんだのう」「ああそうだとも、となりの村でも、稲が水につかって刈れんもんだで、稲の穂だけ摘んどらっせるそうな。」
村の衆は三人よれば水の話ばっかり。しかし、なかなかええ知恵は浮かんでこなんだ。
庄屋の孫八さんもいつもそのことばかり考えてござった。
「うん。このままじゃ年貢はおろか、食べていくこともできん。よし、わしがお代官所へ行って、川の改修をたのんでみよう。」「ああ、庄屋さまおねがいしますだ。」
清洲のお代官所はこの話をきいて、さっそく川筋をかえることになった。村の人は、このはなしを聞いてたいそうよろこんだが、困ったことがおきた。それは、川を村のまん中に通すことになってしもうた。
これを聞いた村の人はびっくり。田んぼがへるし、ていぼうの下は水はけが悪くなるし、もうつくってもらわんでもええという人もでてきた。
これには、孫八さんもたいそう困って、「よし、わかった。うそを言って、川筋をごまかすより手はない。わかった時のおとがめはわし一人だからのう。みんなは心配せんでええ。」
こうした孫八さんの努力により、川は村のはずれを通り、大水はなくなったということじゃ。それ以来孫八さんをたたえ、お祭りをすることになったそうな。