稲沢のむかしばなし 子育てじぞう(稲沢市稲沢町)
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むかし、むかしの話。
稲葉に、次郎作さんという、おひゃくしょうさんが、おかみさんや5人の子どもたちとなかよくくらしていました。次郎作の一番下の子どもは、末吉といい、体が弱かったそうです。これは、末吉がおじぞうさんの力で、体がじょうぶになったお話です。
「末吉がじょうぶになりますように・・・」「末吉がじょうぶになりますように・・・」
今日も、次郎作さんとおかみさんは、近くのお寺にまいりに行きました。末吉は、体が弱く、みんなと走ることも、おもい物を持つこともできませんでした。そこで、次郎作とおかみさんは、毎日おまいりをしているのでした。
ある日のこと。
次郎作さんが田んぼをたがやしていると、”ガチン”
「何かあるのかな」とクワをもうひとふりしました。”ガチン”手がしびれてしまいました。
「こりゃ大きな石だぞ。おーい、みんな来いや」
おかみさんや子どもたちが集まり、そのあたりをほると・・・一メートルほどの大きな石が出てきました。やっとのことで、田んぼのあぜまで運び出し、みんなは、また仕事を始めました。
末吉だけは、その石の横にすわって、ドロをとったり、なぜたりしていました。「あれェ。こりゃあおじぞうさまだ。──おとう、この石は、おじぞうさまだぞぉ」
次郎作は、おじぞうさまに手をあわせると、
「これは・・・これは・・・。まってぇねぇこった。田んぼでふんづけておったらバチが当たる、さっそくおまつりせにゃあかん」
「ほんに、末吉でかしたナァ」
さっそく、みんなで家へ持ちかえり、お花やおせんこう、おそなえものをあげ、おいのりしました。それからというもの、末吉は、毎日、毎日おじぞうさんにおいのりしました。
「どうかオラの体をじょうぶにしてくだせぇ。みんなといっしょに遊びてぇだ」と、いのり続けました。
ある夜のこと。末吉は、へんなユメを見ました。
ガキ大将のタスケがやってきて、末吉に力くらべしようと言いだしたのです。しかたなく、タスケと、おじぞうさまをおぶって走れるか、きょうそうすることにしました。
まずタスケがやることになり、おじぞうさまをおぶろうとしました。ところが、あまりにも重いので、力じまんのタスケも、こうさんしてしまいました。
さぁ、末吉のばんです。おそるおそる、おじぞうさまを持ち上げると・・・おじぞうさまは、うそのように軽く、家の周りを一周できるほどでした。
次の朝。末吉は、ふとんからとび出すと、さっそくおじぞうさまを、おぶってみようと思いました。
「きのうのゆめはまさゆめかナァ」
と、おじぞうさまをもちあげると、わらのように軽くもち上がりました。それを見た家ぞくのものは、なみだをながして、おじぞうさまをおがんだそうです。
めでたし、めでたし。