稲沢のむかしばなし 金色のふな(稲沢市増田町)
- [更新日:]
- ID:2558

稲沢市の南東の方にある増田町に伝わる「金色のふな」というお話です。
むかぁし、むかし、増田町の沼の近くに、左吉さんというお百姓が住んでおった。左吉さんは、ふなをつることが大好きで、今日も朝から、つり糸をたらしてジーッとしていた。しばらくして、グググーッと強いひきをかんじた。
「しめた。でっかいのがかかったぞ。よぉし。つれたら、となりのじいさまにわれてやろうっと。」とニコニコしながら、さおを思いきりふりあげた。
すると、水面からまばゆいばかりの光をはなったふながあがってきた。「あッ。金色のふなだ。」左吉さんは、無我夢中になって、さおを引きよせた。
すると、「お助けくださいまし。もうすぐ、子供ができるんです。」左吉さんは、ふながしゃべるので、またまた、ビックリ。でも何やらふなが必死になってたのむので、結局は逃がしてやることにした。
それから、数日後の雨の日のこと。左吉さんは、雨戸をたたく音で目がさめた。「誰だぁ。こんなに朝早くから。もうー。」と目をこすりながら戸を開けた。
すると、そこに、それはきれいな女の人が立っていた。
「この間は、うちの人をたすけていただきありがとうございました。おかげさまで、子供も無事に生まれました。」「へェー。じゃああのふなは?」「さぞおどろかれたことでしょう。実は、うちの人この沼の主なんです。」「へェー。沼の主だったのか。」「今日は、お礼にまいったしだいです。」といって、これまた金色に光ったおけを左吉さんにわたした。「これで水をすくうと、米に変わります。」そういうと雨の中へスーッと消えて行ってしまったと言うことじゃ。