稲沢のむかしばなし コガシ祭り(稲沢市北市場町)
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稲沢市の南東部にある北市場町の「コガシ祭り」のお話です。
むかぁし、むかし、清洲に代官所があったころのある年のこと。その年は特に天候が悪く、作物がいつもの半分しか取れなんだ。そして、年貢をおさめるのがやっとで、村の人たちは、食べる物にもこまっておった。
毎年行っている夏祭が近づいたある晩、村の人たちは庄屋さまの家で話をしておった。
「なぁ村の衆、今年は作物のできがよくねえだぁー。今年の夏祭はやめにしたらどうだぁー。」「あぁー。そうだとも、こんな不作じゃ、お祭りどころのさがぎじゃねぇだぁ。」「庄屋さま、お代官さまに夏祭をやめにするようたのんでくだせぇ」
次の朝、庄屋さまは村の人たちに見おくられて、代官所へ出かけた。
「お代官さま、今年は天候がわるく作物の出きがよくございませぬ。今年だけ夏祭を中止してくださるようおねがいもうしあげます。」
すると代官は、「ならぬ、このお祭りを何と心えておる。このバカものめがァー。豊作をおいのりする大事な祭りであるぞ。たとえおまえたちが“コガシ”を食べようとも、お祭りだけは絶対にいたせ。よいな。」
庄屋さまは、しぶしぶ村へ帰り、この話をした。村人たちは、「しかたがねェだァ。なぁみんな、貧しいけれど力を合わせて夏祭を盛大にやろみゃぁか。」
こうして祭りはおこなわれた。それ以来、だれということなく、この夏祭を「コガシ祭り」と、ゆうようになったそうじゃ。
コガシというのは、麦やあわをこなにし、よくねったものをいいます。昔は、このコガシを食ったものですよ。