稲沢のむかしばなし お正月さまござった
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お正月にふさわしい「お正月さまござった」、というお話です。
「正ちゃん、おきなさい。もうお日さまが、上がっているわよ」
正ちゃんはお母さんの声で、やっと目がさめた。
「あーあ、ねむいなあ。おじいちゃん、おはよう。それに、おめでとうございます」
「ああ、正ちゃん、おめでとう」おじいちゃんは、やさしく返事をした。
「さあ、みんな朝ごはんよ。今日は、わが家とくせいの、おいしいおぞうによ」「わーい、ぼく大好きなんだ」
「そうか、正ちゃんはおもちが大好きだったんだなあ。でも、昔は、好きでもおなかいっぱい食べれない人が、多かったんだよ」
「どうして?」正ちゃんはおじいちゃんにたずねた。
「うん、お米は年貢に出して麦やアワを食べていた。
でも、正月だけはと、みんなが少ないお米を出し合い、おもちをつくった。だから、みんな正月になると、こんな歌をうたっていたんだ。」
”お正月さま、ごーざった。稲葉の宿まで、ごーざった。何持って、ごーざった。庖丁もって、ごーざった。何しに、ごーざった。もち切りに、ごーざった”こうして、みんな正月を、待ちどおしがってな。正ちゃんみたいに、朝ねぼうする人は、いなかったんだよ」
「あっ、痛いところをつかれた。」といって、正ちゃんは、頭をかいた。
「そして、少ないもちを、家族みんなで分けて、お正月を祝い、今年もよい年でありますようにと、祈ったんだ」
「ふーん、じゃあぼくたち、まだ幸せなんだなあ」正ちゃんは、おワンの中に入っている白いおもちをじっとみつめていた。そして、いつもとちがった、おぞうにをかみしめていた。