稲沢市生活排水処理基本計画
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はじめに
本市は、愛知県の西部、伊勢湾に流下する木曽川等の堆積層である濃尾平野のほぼ中央に位置し、総面積は79.35k㎡である。また、内陸型の温暖な気候であり、降雨は比較的多いが、降雪は少ない。
人口(住民基本台帳)は、令和2年9月現在、136,349人で、世帯数は55,453世帯である。なお、人口は近年微減傾向である。
また、尾張国の政治・文化の中心地として国府が置かれていた歴史ある市で、肥沃な土壌と温和な気候を生かし、古くから稲作を中心に野菜・植木・苗木等の産地として発展してきた。近年は、工場・事業所の進出も多くなり、公害のない堅実な工業基盤の確立に努めている。
土地利用については、田畑が44.0%、宅地は25.8%で名古屋近郊都市として、近年は宅地開発が進んでいる。
本市の生活排水は、公共下水道、コミュニティ・プラント、浄化槽および農業集落排水施設で処理しているが、処理率は約80.5%で、残りの19.5%は未処理のまま水路等に排出されているため、水質に影響を及ぼしている。更に、河川や水路は、治水対策として、土や植生によらないコンクリート張り等の護岸整備が進んできたため、自然の浄化機能を失いつつある。
このような状況を踏まえ、市民に快適で潤いのある生活環境を確保するため、生活排水処理率の向上を図る。

1 基本方針

(1)生活排水処理に係る理念、目標
最近になって、特に生活排水による水質汚濁、生態系や飲料水等への影響が問題となってきており、社会的にもその対策の必要性と緊急性が深く認識されるようになっている。
このようなことから、生活排水を適切に処理することが重要となっており、市民に対し、生活排水対策の必要性等について啓発を行うとともに、水質の改善を図ることによって多種類の水生生物の棲息、河川の浄化改善を目指している。

(2)生活排水処理施設整備の基本方針
生活排水対策の基本として、水の利用に関する普及啓発とともに、生活排水の処理施設を逐次整備していくこととするが、生活排水処理施設整備の基本方針については次のとおりとする。
- 人口の密集地域においては、公共下水道の整備を図る。
- 密集地から離れた集落・家屋については、各戸で合併処理浄化槽により処理する。
- 今後行われる宅地開発については、公共下水道または合併処理浄化槽により処理する。

2 目標年次
本市の生活排水処理基本計画における目標年次は、令和7年度とする。諸条件に大きな変動のあった場合においては、見直しを行なうものとする。

3 生活排水の排出の状況
本市における生活排水の排出の状況は、次表のとおりであり、令和元年度において、計画処理区域内人口136,467人のうち109,831人については、生活排水の適正処理がなされている。
合併処理浄化槽は、集合住宅において設置した比較的規模の大きなものが主体であったが、平成13年4月から単独処理浄化槽の新設が禁止されたため、個人住宅において設置が増加している。
なお、浄化槽設置整備事業については、平成元年度から事業を実施しているが、市民の要望も強く、今後とも計画的な設置整備を図ることとしている。
公共下水道は、平成12年4月から順次供用開始している。また、農業集落排水施設は、千代地区始め10地区あり、平成3年6月から順次供用開始している。
また、コミュニティ・プラントの平六地区は平成12年4月から供用開始している。

生活排水の排出状況(令和元年度末現在)
- 計画処理区域内人口(住民基本台帳):136,467人
- 水洗化・生活雑排水処理人口:109,831人
(1)公共下水道:61,235人
(2)農業集落排水施設:7,555人
(3)合併処理浄化槽:40,513人
(4)コミュニティ・プラント:528人 - 水洗化・生活雑排水未処理人口(単独処理浄化槽):20,365人
- 非水洗化人口(汲み取り便槽):6,271人
- 計画処理区域外人口:0人

4 生活排水の処理主体
本市における生活排水の処理主体は、次表のとおりである。
処理施設の種類 | 対象となる生活排水の種類 | 処理主体 |
---|---|---|
(1)公共下水道 | し尿および生活雑排水 | 稲沢市 |
(2)農業集落排水施設 | し尿および生活雑排水 | 稲沢市 |
(3)合併処理浄化槽 | し尿および生活雑排水 | 個人等 |
(4)コミュニティ・プラント | し尿および生活雑排水 | 稲沢市 |
(5)単独処理浄化槽 | し尿 | 個人等 |
(6)し尿処理施設 | し尿および浄化槽汚泥 | 稲沢市 |

5 生活排水処理基本計画

(1)生活排水の処理計画

1 処理の目標
「基本計画」に掲げた理念、目標を達成するため、目標年度には生活排水処理率を約90.4%に上げることを目標とし、将来にわたっては公共下水道または合併処理浄化槽により整備を進め、おおむね全ての生活排水を施設で処理することを目指す。また、市内の各地域の実情に対応した処理方式を採用するものとした。
区分 | 令和元年度末 | 令和7年度末(目標年度) |
---|---|---|
生活排水処理率 | 80.5% | 90.4% |
区分 | 令和元年度末 | 令和7年度末(目標年度) |
---|---|---|
1 行政区域内人口 | 136,467 | 126,487 |
2 計画処理区域内人口 | 136,467 | 126,487 |
3 汚水処理人口 | 109,831 | 114,340 |
区分 | 令和元年度末 | 令和7年度末(目標年度) |
---|---|---|
1 計画処理区域内人口(住民基本台帳) | 136,467 | 126,487 |
2 水洗化・生活雑排水処理人口 | 109,831 | 114,340 |
2 水洗化・生活雑排水処理人口(1)公共下水道 | 61,235 | 68,070 |
2 水洗化・生活雑排水処理人口(2)農業集落排水施設 | 7,555 | 7,400 |
2 水洗化・生活雑排水処理人口(3)合併処理浄化槽 | 40,513 | 38,340 |
2 水洗化・生活雑排水処理人口(4)コミュニティ・プラント | 528 | 530 |
3 水洗化・生活雑排水未処理人口(単独処理浄化槽) | 20,365 | 8,843 |
4 非水洗化人口(汲み取り便槽) | 6,271 | 3,304 |
5 計画処理区域外人口 | 0 | 0 |

2 生活排水を処理する区域および人口等
本市が、公共下水道または合併処理浄化槽を検討していく地域については、地区の特性、周辺環境から処理方式を定めた。
人口密集地においては公共下水道を主として、その他地域においては合併処理浄化槽により順次整備を進める。

3 施設およびその整備計画の概要
施設名 | 計画処理区域 | 計画処理人口(人) | 整備予定年度 | 事業費見込み |
---|---|---|---|---|
合併処理浄化槽(補助対象分) | 市内全域(浄化槽処理促進区域) | 7,732 | 平成28年度~令和7年度 | 511百万円 |
公共下水道 | 市街地中心部および一部周辺部155.4ヘクタール | 11,731 | 平成28年度~令和7年度 | 8,009百万円 |

(2)し尿・汚泥の処理計画

1 現況
本市のし尿および浄化槽汚泥の収集・運搬については、許可業者が浄化槽清掃業と併せて実施している。
また、本市のし尿処理施設は、昭和48年竣工120キロリットル/日、昭和50年増設の50キロリットル/日の高速酸化方式による合計170キロリットル/日の施設である。し尿・汚泥の最終処分については、脱水汚泥をごみ処理施設で焼却した後、その残さを一般廃棄物最終処分場で埋め立て処分している。

2 し尿・汚泥の排出状況
「5(1)(1) ウ 生活排水の処理形態別内訳」に基づいたし尿・汚泥の排出状況は、次表のとおりである。
区分 | 令和元年度末 | 令和7年度末(目標年度) |
---|---|---|
くみ取りし尿 | 9.5キロリットル/日 | 5.0キロリットル/日 |
浄化槽汚泥 農業集落排水汚泥 コミュニティ・プラント汚泥 | 111.2キロリットル/日 | 88.9キロリットル/日 |
合計 | 120.7キロリットル/日 | 93.9キロリットル/日 |

3 し尿・汚泥の処理計画
し尿・汚泥の収集・運搬・最終処分については、稲沢市平和浄化センターで全て行っているが、将来的には稲沢市平和浄化センターで一次処理し、日光川上流流域下水道で最終処分を行う。

(3)その他
生活排水対策の必要性、浄化槽管理の重要性、家庭でできる排水対策等について住民に周知を図るため、定期的な広報・啓発活動を実施する。
また、浄化槽については、定期的な保守点検、清掃および法定検査について、広報等を通じて、その徹底に努めるものとする。
